2018年8月29日
今年の夏は、甲子園での金足農業高校の活躍で、農業高校にも注目が集まりました。
財政難で、農業高校や工業高校などは、どんどん縮小されていっています。
敷地面積広いので、県の方が調査に来られて、ここの土地を売ったらどれくらいになるか?という試算をされていることもありました。
金足農業の規模は、大きくていい環境で学んでいるのだなあと思いました。
農業高校と言えば、お米、野菜果樹などを作ったり、お花を育てたり、飼育したり。
そして、食品科で加工しています。
子どもたちがやっていると思っていました。
農業高校に勤めていた時、農作物や加工品の販売日がありました。
生徒に、販売所で売っていたものの話をしたら「あれは、私ら関係ないから」というのです。
先生に聞くと「あんなやつらにやらせたら、売り物にならん。教員が作ってるんや」と言われました。
実習の授業でも、材料はすべて教員がはかって準備しておくそうです。
そんなんできないから、というのです。
食品科をでても、何もできないままではないのか?とショックを受けました。
次に、工業高校で勤務しました。
家庭科の先生に言われて、調理実習の手伝いに行きました。
1年間、副担だからと頼まれてあるクラスに入りました。
生徒が27人ぐらいなのに、家庭科教員2名+3名+養護教諭で、どう考えても多すぎるのでは?と思いました。
私は、アナフィラキシーショックの恐れのある生徒につきました。
他の子とは、材料も作り方も違う別メニューでした。
卵などアレルギーのある食材を触れた人でもダメということで、同じ空間で、他の子と接触しないようにしてやってました。
アレルギー体質の子は、親が過干渉の子も多くて、自分で考えたり自分でやることが苦手な子が多いです。
その子も、考えて行動することが苦手というか、やったことがないという感じでした。
横で見守りながら、他の子がやってこないように注意しながら、自分でやるようにしていました。
質問しながら、自分でうまくやってるなと思って見ていると、授業の後半で担任がやってきて、「まだこんなことやってるの?」と取り上げて、自分でやってしまいました。
さっきまで、他の班の子と卵を使ってやってたのに・・・と思いながら、唖然として見ていました。
家庭科の実習も、材料の分量は、家庭科教員がすべて計量して、教員がほぼやっていました。
こんな授業だと、教員がいっぱいいります。
週10時間の授業しかなくて、2人で授業している先生の手伝いを、時間数の多い教員を使って調理実習をする意味がわかりませんでした。
生徒が自分でやれるようにサポートするならいいのですが、ほとんどの工程を教員がやってしまう調理実習。
農業高校でも、工業高校でも、先生方の「この子らできないから」ということば。
できないからできるようにするのではないでしょうか?
子どもたちもおもしろくありません。
楽しくもないし「どうせ私たちは・・・」自己否定心しかないのです。
できないと思っているからできないままなのです。
同じ工業高校で3年間数学を担当していた子が、3年生後半、いつも1ケタの点数だった子が、自分からテスト前に補習に来て、80点以上とりました。
その子の担任が、高学歴の若い先生でした。
80点以上とったテストの範囲が、微分積分。
担任は、社会科の先生だったので、「なんで微分積分ができるんや。わけわからん」と言ってました。
「どうせ俺らできんし」とあきらめさせられてきた子たち。
でも、できないのではなく、機会がなかった子がほとんどです。
大人がやってしまった方が楽です。
でも、それではいつまでたってもできないのです。
今の大人を見ていても、できないままの人って多いのです。
学校教育に限らず、家庭でも同じだと思います。
できないからとあきらめさせていることって多くないですか?
スポーツを見ていても、顧問の言う通りにさせているところより、自分たちで考えて動かせているチームは、結果を出すようになっていると思います。
生徒に役割を与え、生徒の意見もとりいれながらされているチームは、これからどんどん伸びていくのだと思います。
最初の農業高校の話に戻りますが、販売しているものは、たしかに製品としてはきれいだし良く見えました。
でも、食べてみると、楽しんで作っているものではないので、おいしくありませんでした。
ものには気持ちが入りますから、味にでます。