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2018年5月22日

子どもは失敗させなさい

 

 子どもが失敗しないように、つまずく前に障害物をなくしたり、危ないからと注意していませんか?

 

 子どもたちを見ていると、何でも大人が言ってしまうので考えることができない子がほとんどです。

 自分で考える前に、親がぜんぶ答えていることが多いのです。

 塾をやっていると、入塾前に親子面談をします。

 すると、子どもに聞いていても、先に親が答えるのです。

 子どもは、何も言いません。

 

 学校や塾では、ふつう先生も同じように、子どもに考える機会を与えません。

 言われたとおりに、ただやるだけ。

 でも、結果はでません。

 やったわりには、成果がないのです。

 自分には、能力がない、やってもできないと思い込んでいきます。

 

 どうしたら、効果がでるのでしょうか?

 自分で考えさせることです。

 

 塾や学校で、子どもたちに教えてきました。

 言われたことをするのは得意です。

 でも、考える力がありません。

 数学の教師をしていたので、考える力がないことに驚きます。

 高校で教えていた時、他の数学教師は何を教えているのか見ていると、数学って暗記教科だったのかと思うぐらい、みんな暗記させているのです。

 自分の学生時代を思い出すと、考えて答えを導くように教えてくれた先生が多かったです。 

 でも、暗記させて教えていた先生の授業はわからず、その先生に習っていたところだけわからないのです。

 

 数学は、なぜ学ぶのか?

 方程式が解けなくても、因数分解ができなくても、微分がわからなくても、とくに困らないじゃないか?とよく言われます。

 たしかに、生活の中では使いません。

 でも、いろんなことを考えたり、人に話すときに、数学の考え方を使っているのです。

 順序だてて、答えを導いていく、自分の考えを説明するなど、問題解決をするときに使っています。

 考えることなく、暗記だけでやってしまうと使えないのです。

 

 高校は、教育困難校で教えていました。

 小学校の低学年でつまづいた子ばかりです。

 考える力もないので、最初は、テストの結果もひどいものです。

 計算練習をいくらしても、身につかない。

 最初は、ドリル形式で、基礎計算の練習をさせましたが、効果がありません。

 どうしたらできるようになるのか?

 問題を解くときに、でてきたことを、そのたびに振り返って教えました。

 分数がでてきたら、分数の計算の仕方を、因数分解がでてきたら因数分解を。

 すると、生徒が授業に食いついてきました。

 今までは、どうせできないからとあきらめていた子たちが、質問しながら解き始めました。

 不思議なことに、そこでマスターした計算は習得できているのです。

 もっと問題を解きたいと、同じような問題をやり始めます。

 考える力がついていくと、あとは楽です。

 テストの点数もあがります。

 

 テストの点数が悪いとだめだから、勉強しなさいと言うと思います。

 私の場合、一度は注意しますが、それ以降は見守ります。

 結果は、思った通りひどい点数のこともあります。

 言わない方が、こっそりとやったり、試験前に質問にくる子も多いです。

 自分から質問にくる子は伸びます。

 やった方がいいのはわかってるけどやらない子もいます。

 結果、ひどい点数をとってしまったらどうするか。

 自分からやりだすのです。

 がんばるから、先生協力してくださいって、自主的にやりだします。

 気持ちが入ると、吸収力はupします。

 1ケタの点数から80点以上とれるように、いきなり変わる子も多いのです。

 

 失敗から自分で学ぶ方が成長できます。

 

 支援員をしていたとき、小学校で発達障がいの疑いのある子、診断された子どもと出会いました。

 発達障がいと言われているけれど、経験がないだけで、自分で考えるようになると、何の問題もなくなりました。

 

 

 小学校6年生の女の子が、不登校になり、発達障がいもあるから、病院を受診するようにしてと、スクールカウンセラーから言われました。

 毎年、夏休みあけは不登校になるそうです。

 夏休みの間に、何とかしてほしいと言われました。

 勉強もできないし、不器用すぎるから、スクールカウンセラーの見立ては発達障がいでした。

 何でもいいから、病院に行くように勧めてくれたらいいのよって言われました。

 訪問して、勉強をみることにしました。

 ベネッセの教材をやっているけどしないんですと、お母さんから言われたので一緒にやってみました。

 難しいからできなかったのです。

 定規が使えないから発達障がいと言われていたのですが、定規を使って線の引き方を教えたら、できるようになりました。

 はさみをうまく使えないと言ってましたが、これも使えるようになりました。

 ぜんぶ親がやってくれていたから、できないから代わりにやってくれていたからできなかったのです。

 

 お手伝いをさせても、長続きしない、ペットの世話もしない、学校に行く時間になっても遊んでいる・・・お母さんの悩みを聞いていてわかったことは、先にお母さんがやってしまったり、注意しているから自分でできないだけなのです。

 夏休みあけ、ふつうに登校し、毎年参加できなかった運動会も参加できました。

 宿題ができていなかったり、準備ができていなくて、休みモードから切り替えられないだけでした。

 宿題がわからず、できないと、次の日、学校に行きづらくなってました。

 わからなかったら、先生に言えばいいよって教えたら、ここがわからなかったと先生にきくようになり、不登校もなくなりました。

 お母さんの悩みも解消しました。

 お母さんがやってしまうから、どうせ自分がやらなくてもお母さんがやるからいいやってなることを伝えました。

 遅刻してもいいから、何も言わないでくださいとお願いしました。

 すると、1回遅刻したけど、それから自分で時計を見て行動するようになったそうです。

 ペットの世話もちゃんとするようになったそうです。

 

 自分で考えて行動するようになると、生活面も勉強も改善するのです。

 大人がやったり、注意することの方が楽です。

 でも、子どもにとっては成長できないのです。

 

 昔から、かわいい子には旅をさせろと言います。

 命の危険や大けががない程度なら、見守っていて失敗させた方がいいのです。

 

 失敗したり、怒られたりする経験のないまま大人になったとき、ちょっとしたつまずきで起き上がれなくなります。

 

 それがひどくなると、事件の加害者になることもあるのです。

 子どもの頃から、失敗経験をすることは大事なことなんです。

 

 失敗は成功のもとですから。